大変状態の良いビスケットTin缶ですが、由緒ある訳ありです。
4つの車輪はとてもスムーズ,軽く押すとくるくるとよく動きます。
赤い屋根部分がふたになっています。
てっぺんにはチャーミングな金色の王冠。
そして,窓には何も書かれていません。
この缶は1936年1月に即位したエドワード8世の
戴冠式を記念してJacobという菓子メーカーが企画したものなのです。
戴冠式はその年のクリスマスに行われる予定でした。
馬車の窓には,エドワード8世の肖像が入るはずだったのですが。
英国史をご存知の方なら、あ、と思われるでしょう。
エドワード8世は,アメリカ人のシンプソン夫人との恋を実らせるために、
戴冠式を待たずに,12月初めに退位宣言をしたのでした。
「王冠をかけた恋」という本をご存知の方も多いでしょう。
なので,この缶は御用済みとなり、他に使い回しもされないまま、
倉庫に眠っていたというわけです。