第一次大戦後のポストカード

アンティークのポストカードの中で,
印刷技術や作りの丁寧さ美しさなど最高レベルのものは、
19世紀の終わりから20世紀の初めに集中しています。
(カラーの石版、木口木版、エンボス、金彩など)

しかし第一次世界大戦がはじまると、印刷所の多かったドイツでの製造が困難になりました。
印刷技術の向上もあり、やがてポストカードの版元は、自国での生産に切り替えていきます。

金彩やエンボスなど,技術の極みを尽くした美しい印刷はできなくなりましたが、
新しい画家もたくさん登場して,ファンの心をとらえました。

印刷の特徴としては、石版に代わってオフセット印刷が主流になり、安価な大量印刷が可能になります。
オフセット印刷では、水彩のぼかしや微妙な淡彩などは,石版よりもずっときれいに出ますから、
画家には喜ばれたのでは,と思います。
MunkやMeissner&Buchなど戦前から優れたカードを出していた版元は、
オフセット印刷をベースにして、さらに別版で石版を重ねたり,手彩色をしたりして
今と比べるとやはり手の込んだ方法で製作しています。

またはがきの紙も、以前は大きな紙を裁断していましたが、ポストカードサイズの手漉きの紙も登場します。

おなじみエブナーのもの。一枚ごとに手漉きで作られたポストカードです。
1920年代から40年代はじめにかけて多く見られます。

左は、Lia Doring、右はMarie Flatscherのもの。
どちらもコレクターにとても人気のある画家です。
左は、まだ石版印刷ですが、右はオフセット印刷に別版を重ねています。

画家が描く絵も変化して来て、より絵画的な構図のものと、
グラフィックなものとが分かれてきます。
わたしはやはり、絵画的な構図のものの方が好みですが。