この絵を描いたのは、日本人の五姓田義松(ごせだよしまつ)。
17歳で明治天皇の御用画家になり、早熟の天才といわれたそうなのですが。
どちらも、フランスのクロモスカードに描かれてるのと絵柄が似ています。
その同じ時期の1880年代初期、二十代の五姓田義松はパリに留学していたのです。
日本人として初めてパリサロン展で入選をはたした画家として知られています。
パリをはじめ海外には8年いたらしいのですが、アカデミックな抜群にうまい画家がいくらでもいることを知ってショックを受けたようです。
帰国後はぱっとしないまま、一生を終えています。
(その後に行った黒田清輝なんかは、印象派を学んで来て、これが日本の美術教育のはじまりになるのですが。
でも、印象派というのは、それまでのアカデミックな描き方をぶっこわす、といって出て来た流派なので,日本での西洋美術の教育って、本来学ぶべき古典絵画の勉強とはかなり違うところから出発してるのです。)
これは1880年代のボンマルシェカード。
五姓田はこういうのから、明らかに影響を受けていますね。
ボンマルシェは、パリの老舗デパートで、当時は来店するたびに、こういうシリーズになったカードがもらえたのです。
お金がなくても、デパートへ行きさえすれば、このような愛らしい美しいカードが手に入りました。
暮らしが豊かになり、王侯貴族しか味わえなかった芸術が無料で手に入る。それは本当に画期的なことでした。
印刷技法は、リトグラフで、本物の金彩で飾られています。
傷みの少ないカードがたまに手に入りますが、金色の輝きが素晴らしいカードたちです。
上の2点はやはりパリで学んだスイスの画家、アルベール.アンカーのものです。
これも、アンティークポストカードの絵柄としておなじみの題材です。
1880年代から1890年代に描かれています。かわいいです。
昨年、渋谷のBunkamuraで展覧会があって、とてもよかったのです。
この絵を見て、リスベス.ツヴェルガー(世界的に知られるウィーンの絵本画家)の絵を思い出し、ああ、ツヴェルガーさんはこういうところから絵の勉強してるのね、となんとなくわかった気がしました。
ネットで買えます。