名刺写真 カルテ.ド.ヴィジット

すみません、またもや紙ものの記事です。

画像の小さな写真は,台紙が縦10.2~10.5cmくらい、横6.2~6.5cmくらいで、
ちょうどchocolat Guerinなどのクロモスカードと同じ大きさです。

アンティークフェアなどで見かけた方もいらっしゃると思いますが、
このような写真が作られたのは1854年から1900年頃まで。
日本語では名刺写真、フランスではCarte de visite photographといって
CDVとかCVPなどと略称で呼んでいます。

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どちらも1880年代の写真。
左、ひつじのぬいぐるみがとても流行したようです.絵本などにもよく描かれています。
右は、ボンマルシェカードに出てくるようなファッションの女の子。
ウエストにはおおきなリボン.プリーツスカート。ボタン止めのブーツ。

1839年にダゲレオタイプと呼ばれる写真が登場するのですが、
これは費用も時間もかかり、その技術で写真を残せたのは結局裕福な人々のみ。

その後1854年にフランスのディズデリが、
一枚のネガに、8~12枚も焼き付けることが出来る写真技術を発明し、特許を得ました。
これが、Carte de Visite カルテ.ド.ヴィジットです。
サイズが小さいとはいえ、一度にたくさん撮影できることによって
庶民にも広く普及したのです。
しかも、この頃には、カメラの前でじっとしている時間もかなり短縮され、
8~10秒くらいになっていました。

子供にとってはそれでも、長すぎるかもしれません。
なんだかむつかしい顔をしている写真を多く見かけます。

1900年代に入って多く登場する写真絵葉書と違って、
そこに写っているのはモデルではなく、当時の普通の人たちです。
流行の服や、おもちゃ、家具などもいっしょに撮影されていて、
ヴィクトリアン(この写真たちはフランスですが同時代という意味で)の
貴重な資料でもあります。

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マリーアンドレ、6歳、1875年、と記されています。
リボン付きヘアバンド、スクエアネックにローショルダーの服。

お人形作りをされている方にはとても参考になると思います。

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どちらも黒い服。当時は、家族の誰かが亡くなると一年くらいも、喪に服していました。

現在よりもはるかに乳児の死亡率も高く、
一生の間に喪服を着ている期間がかなり長かったのです。

ちょうど同じ頃を舞台にした映画「風と共に去りぬ」で、
最初の夫を亡くしたスカーレットが、1年も喪服を着るのはいやだと嘆くシーンがあります。
でも我慢できず、喪服のまま戦争資金集めのダンスパーティーに行ってひんしゅくを買います。
レットはそれをおもしろがって、いっしょに踊るのです。