さきほど書いたブログ、ケイト.グリーナウェイの作品ですが。
これは木版ですが、普通の木版ではなく、小口(木口、こぐち)木版という技法で刷られています。
通常の木版は、木を縦に切って使います(板目木版、という)が、木口木版の場合は、木を真横に切った物を使うのです。
つまり、年輪の見える切り方をして、大きさが足りない場合はいくつか組み合わせて必要な大きさにします。
これはとても硬いので、細かい彫りに向いています。普通の彫刻刀でぐいぐい彫ることができないので、ビュランという銅版画用の彫刻刀を使って彫っていくのです。
極細の鋼を使ったするどい彫刻刀ですので、仕上がりは銅版画ととても似ています。
が、そこはやはり木版なので,銅版画よりも早くでき、しかもやわらかい感じに仕上がります。
バロックからロココの17,18世紀は銅版画による複製がたくさん作られましたが、19世紀は小口木版の全盛時代でした。
*銅版画のビュランという道具を使った彫りは、エングレーヴィングと呼ばれます。
これ、私たちが毎日身近に接しているものです。
それは、お札です。
一度,ルーペでお札を見てください。細かな彫りにびっくりされると思います。
担当の技官は、造幣局にはいると、まずビュランを使い慣れるために日々訓練だそうです。1mmの間に10本の線が引けるようにならないとだめなんだそうです。
ひぇー...