すでにご予約済みとなっていますが、桜のソルトスプーン、初めて仕入れた明治期のジャパニーズシルバーですが、資料が見つからず、どうしたものかと思っていました。
が運良く、良い資料が見つかりましたので記しておきます。
ご覧のように、大変チャーミングなデザインと凝った細工、当時の職人たちの腕前が素晴らしいですね。
海外で好まれるようなデザインにしたということですが、この出来栄えなら日本的とか海外向きであるとか関係なく、一流のお品として誰もが認めることでしょう。
明治期の輸出用シルバーについて書かれた資料
この桜のソルトスプーンには、英国シルバーのホールマークのほかに、輸入品であることを示す、Fの文字、そしてメーカーズマークとして、s.m. と リバティー商会の2つのマークが入っています。
明治期の日本のシルバーは、「サムライ商会」と「鴻池」(こうのいけ)がよく知られており、皇室御用達である「宮本商行」も明治期から活動していました。
が、それ以外の小さなメーカーについてはほとんど知られておらず、日本で作られた品物でありながら、さっぱり資料が見つからない、という状況でした。
今回のお品の詳細を知るために探した資料がこちらです。画像も載っていて、大変参考になる資料です。
♣︎こちらです。明治期のシルバー。
なぜか、Chinese Silverなどとタイトルがついているために、うっかり見逃していました。
リバティーの依頼で作られた、ということですから、日本よりも英国に資料が残っているのでしょう。
あまりにも日本的なモチーフは好みではないのですが、今回のお品は、これなら!、と言えるレベルです。
上の画像は、1876年にアメリカフィラデルフィアで開かれた万国博の日本館の写真です。当時、ジャポニスムが人気があった時代ですので、おそらくこの時もたくさんの人が見物に来たのではないでしょうか。
桜のスプーンのメーカーについて
ご紹介した桜のスプーンは、資料によると、横濱にあった武蔵屋という道具商による輸出販売で、リバティーからの注文です。
武蔵家は、大関弥平によって始められ、息子の大関定次郎(s.m.)の時代に作られたスプーンということがわかります。
ただ、販売は武蔵屋ですが、実際に作ったのはどこのメーカーなのか職人は誰なのか、ということまではわかりません。当時は小さな職人の工房がいくつもあり、その中のいずれかに依頼していたとうことくらいしかわかりません。
ふだんは西洋のものばかりご紹介していますが、どこのものだから、ということと関係なく、とても可愛らしく魅力あるお品だったからこそ仕入れました。
あらためて、日本の職人の技術とデザイン力にも驚かされます。