フランス1700年台後半のティータイム、チョコレートポット

先日、ティータイムの絵画をご紹介しました。
こちら。

同じリオタール(Jean-Etienne Liotard 1702~1789)の作品をいくつかご紹介します。
当時(ルイ15,16世の時代)、王侯貴族の間で流行したチョコレートは、とても人気の高い飲み物だったようです。

下の絵は、有名な「チョコレートを運ぶ娘」。ココアメーカーのパッケージにも使われています。お盆に水とホットチョコレートをのせていますが、カップが不思議な形。ソーサーも取っ手がついたシルバー製?でしょうか。

 

こちらは、オランダの少女。壁には、室内を描いた絵が飾られ、足元には、円筒型のフットウォーマーも置かれています。かなり恵まれた環境のようです。**フットウォーマーは、あのフェルメールの「牛乳を注ぐ女」の絵にも描かれていて、オランダでは定番の暖房器具でした。(木枠の中に炭を入れて、その上に足を乗せます)

少女はたぶん侍女か小間使いで、召使いの中では、上位のクラス。サモワールタイプのポットでお茶を入れていますね。左下にあるオレンジの巻物は、リボン?か,またはメジャーです。

召使がこのようなポットを持っていたのか疑問ですが、当時、銅製の水タンク(シャルダンが描いています)は、同じような形をしていました。ポットの材質はシルバーではなく、ピューター(錫)か銅だと思います。

 

一方、こちらは、画家リオタールの夫人と娘。今現在見られるチョコレートポットが描かれていますが、入っているのはコーヒー?チョコレート?でしょうか。少女は、パンをチョコレートにひたして、食べているようです。

少女の髪飾りが不思議なデザインです。

 

そして、こちらは、朝食の準備をする召使いと、女主人。やっぱり水とチョコレートです。

 

リオタールが活躍していた18世紀後半は、東洋風なものが流行したこともあって、彼はむしろ、ペルシャ風やアラビア風のドレスを着た女性たちの絵で知られています。

この時代、英国でもフランスでも、産業革命が進み、田舎から都会へたくさんの若者が仕事を求めて出てきました。男性の場合は、多くは兵役を逃れるためだったそうです。

抜け目のない雇い主であれば、その影響力を駆使して、召使いを兵役から逃れさせる事ができたのです。

パリの街は常に仕事を求める若者であふれていました。たくさんの若者が、召使いとして雇われ、あるものは出世し、男性なら従僕や執事、女性の場合は女中頭や奥様付きの侍女となりました。が一般には、仕事は厳しく辛く、転落していく者も多くいました。

それでもなかには、あのフィガロ(セビリアの理髪師、フィガロの結婚)のように己の機知と才覚で、理想の生活を手に入れるものもいたのです。

リオタールの周辺にも、様々な召使いがたくさんいたのでしょうね。

**リオタールの作品はこちらでたくさん見られます。