このブログ、一応紙ものを中心に,好きなものについて書いています。
絵はがきやクロモスは仕事の延長みたいなもので、大好きなのですが、でもあまり関係のないシルバーはなぜこんなに好きなのだろう…と考えたら,育って来た環境に思い至りました。

自分は普通の環境で育った、と思っていても傍から見たら見たらかなり変わっている、ということがままあります。

大人になってから引っ越しを何度もしているのでふだん忘れてるのですが、わたしは伝統工芸の、打刃物(うちはもの)を作る町で育ちました。
家のあった通りは、ほとんどすべてが打刃物関係の仕事をしていて、どこの家の中にも仕事場があり、友達の家に遊びに行くと必ずその仕事場を見ることになります。
ほぼ毎日、包丁や鎌を作る様子を見ていました。

炉で真っ赤に焼けた鉄をたたいて延ばし,鋼を張り付けます。
形を整えて,磨いて..という作業を何度も繰り返して徐々に出来上がっていきます。

私の家も,戦前は家の中に仕事場があり、多い時は10人程も住み込みの弟子や見習いの職人が働いていたといいます。

鍛冶屋さんと,英国の高級銀器を作る職人とでは格が違うかもしれないのですが、それでもやはり相通じるものを感じます。特に,銀器の技術(職人の暮らしも含めて)に興味があるのですが、やはりこういう環境が影響していると思います。

自分たちで販路を持たないために問屋に、ありえないほど安く買いたたかれて、とても貧しい家が多かったといいます。戦前は,花街に売られて行った少女もいたとききました。そうしないと,仕事に必要な材料も買えない程貧しかったのです。

国認定の伝統工芸士という制度ができてからはかなり改善されたと思います。子供のときに見知っていた人たちはほぼ全員が伝統工芸士になっています。

ここ。