今回の銀器から。

今回のお品から、一部をご紹介します。
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この愛らしい銀器は、1763年ロンドン製、
即位してまだ3年目のジョージ三世の時代のティーキャディです。

当時、銀器はもちろん、紅茶も、大変貴重な嗜好品で、
東インド会社から英国に届くまでに、
一番早くて半年、時には1年以上もかかっていました。
そうしてやっと届いた紅茶は、鍵のかかる箱に大切に保管されました。

その箱は、たいてい、木製または革製でしたが、彫刻や象嵌細工など
凝った装飾をしたものや、ときには、
白蝶貝を組み合わせて、彫刻をし、すばらしい工芸品に仕立てたものなどもありました。
そのような箱に、
今回ご紹介するようなチャーミングなキャディが2つまたは3つ収められていたのです。

それはもう、単なる箱ではなく、正に財産、資産であり、
貴族の結婚式には、持参金の一部として
花嫁に持たせた事もあったでしょう。
美術館や博物館では、芸術品と言ってよい見事なまでの
ティーキャディセットを見ることが出来ます。

その後、ティークリッパー(高速帆船)のおかげで、
大量にいち早く紅茶が入荷するようになり、
庶民レベルにまで紅茶が広がると、このような豪華なティーキャディは
廃れて行きました。
また、箱入りだったものも、長い間に、ばらばらになり、
こうして、今回のように、単品でご紹介できるという訳です。

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フランスらしい洗練と、華やかさを備えた美しい蓋付きのシュガー入れです。
シュガー入れとしては大きすぎると思うのですが、
英国でも、ビクトリアンのシュガー入れは、やはり巨大ですから、
砂糖入れとしては、当時、標準的なサイズだったのかも知れません。

フランスのこのタイプは、たいてい蓋付きで、凝った装飾のされたものが多くあります。
以前から、ぜひご紹介したいと思っていて、
今回ようやく、ショップに載せることが出来ました。

トップのつまみは、2羽の小鳥が戯れる様子が鋳造で表現されています。

今ならば、お好きなスイーツを入れて、テーブルに載せるのが楽しいですね。