仕事をする女性が増えて、自身の名刺を持ち歩くことも増えました。
まだ私がアンティークのお仕事を始めるずっと前、
名刺入れの素敵なのが欲しいとさがしていた時期があります。
あるとき、某有名ブランドが、シルバーの名刺入れを作っていることを知り、
さっそくそのショップに行ってみました。
ショーケースに見当たらなかったので、店員の女性にたずねたところ、
そのようなお品は置いていません、との返事。
「でも雑誌で見かけたのですが。。」ときくと、
聞こえなかったのか、無視して、他のお客の所に行ってしまいました。
聞き方が悪かったのか、急いでいたのかよくわかりませんでしたが、
なんとなく感じ悪いなぁ、と思って、
それきりそのショップには行きませんでした。
当時見知ったシルバーのカードケースは、全く装飾のないシンプルなもので、
おもしろみに欠けるようにも思ったので、
いつか、もっと素敵なカードケースを必ず手に入れよう、とも思ったのでした。
その後、アンティークシルバーの世界にひたるようになり、
ビクトリア時代のカードケースに、
とりわけ女性好みのラブリーで美しいものがあることを知りました。
花かごのデザイン。縁起の良いパターンだそうです。
このように他の小物と合わせても、とても魅力的なのですが、
当時はどのような人たちが、このカードケースを使っていたのでしょうか。
まだ女性の仕事などというものはほとんどない時代です。
パーティーなどでの、自己紹介のために使っていたんでしょうか。
フランスの田舎の日曜日(ベルトラン.タベルニエ監督)という映画の中で、
主人公(画家のおじいさん)のところに、
パリで、ヴィンテージショップらしい物を経営している娘が帰ってくるのですが。
時代はたぶん1880〜1890年頃。娘は、細身の白いレースドレスを身に着け、
懐中時計を持ち、煙草を吸ったりします。
カードケースは出て来ませんでしたが、もしこんなカードケースを持つとしたら、
こういう女性だったのかなぁ、とも思いました。
登場する子供たちのファッションが、ルノワールの絵のよう。
クロモスカードに出て来る少女と同じなのもうれしかったです..