オークションで、ご質問をいただいたので、こちらにも載せておきます。
1830年代から40年代頃にかけて、ロココスタイルのティーセットが大流行しました。その火付け役とも言えるのが、Edward &John Barnardの工房です。
1977年まで続いた工房ですので、バーナードファミリーと言ったり、バーナードブラザーズと言ったりいろいろですが、検索したところ、時代に関わらず Barnard & Sons Ltd.としているところが多いようです。
詳しくはこちらの英語のサイトに出ています。
この解説によれば、17世紀後半を代表する工房のひとつ、Henry Chawnerのところで、初代Edward Barnardが、遅くとも1773年には修行を始めている事実を知ることができます。
Chawnerの引退後、Edwardは、親方のJohn Emsとともに工房を運営しますが、1808年にJohn が亡くなります。
John Emsの未亡人 Rebecca EmsとEdwardとの共同経営となり、マークは RE,EBとなります。この頃から、ロココ風のティーセットを作り始めたようです。
レベッカが1829年に引退して、エドワード.バーナード工房となり、1830年代から40年代が最盛期となります。腕の良い息子たちにも恵まれ、その後ビクトリア女王の時代全体を通じて、美しく優れた銀製品を多く作りました。
マークの変遷がよくわかるサイトですので、ぜひごらんください。
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Chawnerの工房を引き継いだと記しましたが、この工房はとても大きく、William Chawnerのところから、Henry Chawner(HenryはWilliamの息子です)へと枝分かれして、そこに Edward Barnardが徒弟として入ったようです。
なので、元のWilliam Chawnerの方を引き継ぐ別の流れがあります。それがGeorge Adamesと、Holland,Aldwinkle&Slaterです。詳しい方はご存知と思いますが、いずれも優れた質の高い銀製品を多く作っています。
また、あのベイトマンファミリーも、Chawner工房で修行しています。気品のある美しいデザインを見るとなるほどと思います。
実は、英国の銀職人というのは、たいていどこかでつながっています。
Aという工房で弟子になり、独立してB工房を立ち上げる。するとA工房の息子が、B工房へ弟子として入って来る、あるいは合併,吸収という風に次々と続いていったのです。