1700年代というのは、スプーンの形が完成された時期なので、
そのことについて,少し書いてみます。
上の画像は、1775〜80年の期間に作られたティースプーン。
(ただいまショップにてご紹介中)
ボウルはシェル形、ハンドルはフェザーエッジと言って、縁に沿って、
ブライトカットがほどこされていて、キラキラします。
で、そのスプーンの基本形となっているのは、
オールドイングリッシュパターンと呼ばれる形です。
スプーンと言ったら、まずこの形、
というくらいよく知られたシンプルな形ですが、
このデザインがほぼ出来上がったのが1770年頃と言われています。
その少し前、1750年頃に登場したのが、ハノーベリアン、と呼ばれるパターンです。
よく見ると,ハンドルの先が上を向いていて、
オールドイングリッシュパターンと逆方向を向いています。
この形だと,使いにくい、ということで、
徐々に、ハンドルの先が下向きに代わっていきます。
そしてこれが、オールドイングリッシュパターン、と呼ばれるようになります。
オールドイングリッシュパターンが最も多く作られたのが,
1770年から90年代にかけてですが、完成度の高い美しいフォルムなので、
現代に至るまで、この形は引き継がれています。
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1700年代のスプーンは,ロンドンマークは省略されていたり、
制作年を示すデートレターがなかったりしますが、
だいたいの年代を見分ける方法をご紹介します。
今回のスプーンのホールマークは、ボウル部分に近い位置に刻印されています。
これを、ボトムマーキングと言います。
このボトムマーキングは、1780年を境に、
トップマーキングに替わります。(一つ置いて下の画像)
ですので、このシェルスプーンは1780年以前ということがわかります。
下のスプーンたちは,トップマーキング。
ハンドルの先の方に刻印されています。
でもこの時期になるとたいてい、デートレターが刻印されている事が多いです。
(私なりに調べたところでは、トップマーキングになった最も早い時期は1782年でした。
1780年はまだ,ボトムマーキングです。1781年を見つけて調べたいです)
1700年代のスプーンやフォークをお持ちの方は,
調べてごらんになるとおもしろいと思います。
*参考までに書いておくと、
1760年の時点で,世界の銀生産量は650t,
それが,ビクトリア時代の終わり1900年には5600tで、
実に8倍以上になっています。
1700年代のシルバーがいかに希少価値の高いものであるか、
おわかりいただけると思います。