アメリカンシルバーのスプーン

SOLD
もう嫁いでしまいましたが、先日出品したスプーン、これはアメリカの100年程前の物です。

きれいに型起こしされていて、細工の細かさに驚きます。
このスプーンを作ったDominick & Haffは、1862年から1928年まで続いたメーカーです。

もともとイギリスの職人が多数,新天地を求めてアメリカに渡り、
新たに工房を開いたと推測されるのですが、このサイトをごらんください。

アメリカ,ジョージアンスプーン
1795年に作られたサーヴィングスプーンです。
銀純度は,当時900でコインシルバーと呼ばれましたが、
925より硬い分、摩耗が少ないのではないでしょうか。
ここに出ているスプーンはブライトカットがくっきりときれいです。

このようなアーリーアメリカンシルバーは,数が少ないだけに英国の物以上に高価です。
そしてもちろん熱心なコレクターがいます。

デザインは全く英国とおなじように作っていて、
明らかに英国から新大陸に渡った職人の手によるものでしょう。
ポットやティーサービス等も丹念に探すとすばらしいものが見つかります。

ここから数十年後には、手彫りではなく、
鋳造(型抜き)によるスプーンを製造し始めているのです。
発想がいかにもアメリカ的というか、大量生産向きの作り方です。
この発想こそが、高級品の大衆化とか、腕のいい職人の駆逐とか、
良くも悪くもアメリカが世界のトップに立つ
原動力のひとつになったことは間違いないと思います。

型抜きスプーンは手作業で作る物よりも買いやすいお値段だったろうと推測しますが、
そうはいってもシルバーなので、庶民にはなかなか手が届かない物だったでしょうね。

最初の型起こしは本当に良くできた物が多く、
この画像のような面白いデザインのスプーンがたくさんあります。

現在に引き継がれているパターンも多いのですが、
初期の、登録されて間もない頃のものは、現在の物よりもくっきりと型がきれいで、
引き締まった印象のものが多いように思います。