とても興味深いアンティークを見つけました。
1850年バーミンガム製のフィッシュ用サーバー(George Unite)ですが、
翌年のロンドン博の目玉であった水晶宮が彫られています。
世界最初の万博、ロンドン博のメイン会場となった水晶宮=クリスタルパレスは
ガラスと鉄で作られた,産業革命を象徴するような建物です。
建設期間はわずか9か月。
当時の最先端技術を披露する産業博、あるいは見本市なのですが、
これをLondon World Exposition 世界万国博と名付けて
アルバート公の発案で始まりました。
大英帝国の威光を知らしめる一大イベントですから、
なんとしてでも成功させる必要がありました。
このフィッシュカトラリーの作られたバーミンガムは、
当時、ガラスの大生産地だったのです。
(バーミンガムは,18世紀の産業革命発祥の地です。)
たった9か月での完成ですから、ガラスの生産スピードもすごかったでしょうし、
これによって,大きな雇用が生まれて、
当時のバーミンガムはさぞかし活気があったでしょうね。
1850年製のフィッシュサーバーですが、
翌年、注文主がぜひとも、と彫刻を依頼したに違いありません。
1851年にロンドンで開かれた世界初の万博は大成功を収め、
以降、先進国各地で同種の博覧会が開かれるようになりました。
またイギリスではこの万博によって得られた資産で、
あの美術工芸の殿堂、ビクトリア&アルバート美術館が建てられたのです。