中世の神聖なる塩入れ
©Photo. R.M.N. / R.-G. Ojéda

シルバーのソルト入れを続けて3種類仕入れました。
どれもとても素敵で、おすすめなのですが、(近いうちに3種類ともご紹介します)
西洋での塩の歴史を思い出したので、少し書いてみます。中世では,塩は大変貴重でした。

*当時の塩の製法などについて、書かれたブログがあります。
若い頃、ヨーロッパ中世の美術や歴史に夢中になっていて、、
その頃読んでみたいと思っていた本の内容を,この方がブログで紹介しています。
ありがたいですが、著作権とかいいのかな~~
でも、とても興味深いおもしろい内容です。

何でもないようですが,きれいな塩を作るのが当時どれほど大変だったかがわかります。
そして、塩には味をつけるためだけでなく殺菌作用、防腐作用もあったので、
とても神聖なものとして扱われました。
日本でも,清めの塩、とかありますね。
またお給料の事をサラリーといいますが、塩、saltが語源と言われています。

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<<ベリー公のいとも豪華なる時祷書から>>1410年頃に描かれたもの

上の絵で、テーブルの右端に見える,舟のような形のもの、
これは金製または銀に金メッキをした塩入れです。
めいめいに塩入れは配られたのですが、
主人のテーブルには,常に大きくてりっぱな装飾をした塩入れが置かれました。

このテーブルでも一番りっぱな食器となっています。

パンを切っている人、料理を取り分けている人がいますが,この人たちは召使いではなく、
外国,もしくは国内の身分の高い王侯貴族の子弟たちです。りっぱな衣装です。
この絵の主人公であるベリー公(フランス国王シャルル5世の弟)に
預けられて、帝王学や宮廷作法などを身につけていくのです。

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この絵だともっとはっきりわかるでしょうか。(1378年制作)
テーブルに,舟のようなものがのっていますが、これが金製の塩入れです。
シャルル4世と客人たちのテーブルで、
右端では十字軍エルサレム奪還の様子を役者たちが演じています。

なんだかシンプルな食卓ね、と思いますが、
実はこの宴会は,わざわざ絵に残されているように、800人もの客を招待した歴史に残る大宴会でした。
大きな金の塩入れは、招待した主人の財力や地位の象徴でもありました。


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そして、ときは流れて、19世紀のものです。
ロココのチャーミングな塩入れ。フレンチシルバーかと思いましたが
ビクトリア女王以前の1834年、英国ロンドン製でした。
後ろに見えるのは,1897年のネオクラシックスタイル。
中世からの歴史を踏まえての,凝った美しいソルト入れなんですね。

**最近、大原千晴さんが、新しく本を出されていて、
その表紙が大好きな「ベリー公の豪華時祷書」だったので
思わず書きたくなってしまった記事です。

★★「ベリー公のいとも豪華なる時祷書」は1400年頃、
フランスの王族の一人であったベリー公ジャンが作らせた彩色写本で、
歴史上、もっとも美しい書物の一つと言われています。
(**でも1416年に、これを制作していた画家3人兄弟がペストで全員亡くなり、
ベリー公もペストで亡くなってしまいます。
その後1400年代の終わり頃に別の画家が引き継いで、
へたくそな絵で未完のページを完成させました。
なので、ちょっと惜しい書物になっています。)