映画「日の名残」で

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昨日の1933年製コンポート(soldとなりました)にミニデニッシュペストリーを載せました。

ちょうどこの時代の英国を舞台にした映画「日の名残」は、
没落していく貴族と大英帝国とを重ね合わせて描かれた大好きな作品です。
原作は日系英国人作家のカズオイシグロ。

広大な貴族のお屋敷に勤める執事(アンソニー.ホプキンス)と
有能な女中頭(エマ.トンプソン)の淡い恋愛、がテーマですが、
大英帝国の華やかさを残した貴族の生活がたっぷりと見られます。

月一回、長いテーブルに銀器をずらりと並べて、
召し使い全員で磨くシーンがあるのです。
このときは執事も見習いも関係なく、皆一斉に。

画像のコンポートが作られたこの時期は、
まだそういう貴族社会が残っていたのですね。

ナチスから逃れて来たユダヤ系の少女たちを、
かくまうと同時に雇って一人前の女中にしようとヒロインが心をくだきますが、
このお屋敷のご主人様はナチスに肩入れしているためにそれもできなくなり..
といったエピソード。

また当時、貴族の屋敷は、国際会議場としても使われていたということがわかります。

第二次大戦でお屋敷のご主人の甥は亡くなり、ご主人も亡くなります。
そして屋敷はついに競売にかけられ、
あるアメリカの上院議員に買い取られるのです。

世界の主役が、英国からアメリカに移ったことを示す印象的なシーンでした。

縁あって、自分の手元にやって来たアンティークが
どういう状況で使われていたかを知るのに、
映画は最適の参考書だと思います。