たくさんの古いカードや、挿し絵本等を見ていて、今から100年前から120年くらい前のヨーロッパでは、画家(今ならイラストレーターということになるのでしょうけど)の地位というのはどれほどのものだったのだろうと思います。

ずっと何百年もの間、いちばん偉いのは(というより需要が高かったからですが)宗教画、ついで歴史画、その次が肖像画でした。
花や風景は、絵の添え物だったので、絵画として独立したジャンルを確立するのは17世紀以降になります。
女性の画家もいましたが、女性が裸体画を描くことは禁じられていたので、描けるものは静物画のみ。女性画家の場合ほとんどが、画家の娘か夫が画家であるか、そうでなければ修道院にはいって描き続けるか、だったので、生易しいものではなかったのです。

産業革命によって、市民層が豊かになり教育レベルが上がってようやく、一般市民の子弟が美術学校で学ぶことができるようになったといえます。

19世紀終わり頃から第一次大戦頃までの、絵はがき黄金時代と言われる時期、いち早くアメリカの画家であるClapsaddleやBrundageがヨーロッパで活躍したのは、おそらくアメリカの方が早くから、女子のための学校教育を始めていたからではないかと思います。
日本の津田梅子も、同じような時期にアメリカに留学していますから。

裕福な家庭の子女は、家庭教師について学ぶのが普通でした。
そうでない家庭の子は、読み書きなど一般的な教育は受けられても、美術や音楽等特殊なものを学ぶ機会がなかなか得られません。
でも、学校で学ぶことが出来るようになれば、その機会は格段に大きくなります。