ロココとネオクラシック

天使と,お花のガーランドが好きなのだけれど、
それがいっしょになったデザインの銀器がほしい、でもまだ見た事がない,
もしあるなら,そういうのがほしい、とある方から伺いました。

私も,同じ事を思った事があるのでよくわかります。
もしくは、ガーランド装飾のポットにお花のつまみがついたのがほしい、とか。

なぜ天使とお花のガーランドがいっしょにないのか,
という点ですが,ひと言で言えば、美術様式が違うから。
でも、ないわけではありません。
ロココからネオクラシックへの過渡期だけ,天使とガーランド装飾が見られます。

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嗅ぎタバコ入れ,1760年、ルーブル美術館

天使はロココ,ポットについてるお花のつまみもロココ、なのですが
ガーランド装飾はネオクラシックで,常に直線的なデザインと同居しています。
簡単に言うと以下のようになります。

ルイ14世………………………………………..バロック
ルイ15世………………………………………..ロココ
ルイ16世~ナポレオン……………………….ネオクラシック……………英国のジョージアン
ナポレオン失脚後~ナポレオン3世…………帝政期………………………英国のビクトリアン

フランスとイギリスでは少しずれがありますが、
だいたいこういう感じです。

マリーアントワネット(ルイ16世の妃なのでネオクラシック)の時代を
ロココ,と記している場合がありますが、正確には,ネオクラシック前期です。
当時の最新デザインは、ずっと直線的で、ロココに比べかなりシンプル。
(本当のロココはルイ15世、その愛妾だったポンパドゥール夫人の時代です。)

英国銀器で人気のあるロココタイプは、時代的にはビクトリアンですが、
このビクトリアンの時代は、デザイン的には何でもありの時代です。

産業革命で市民層が豊かになった事や、
大英帝国の版図が広がったことで、うんとぜいたくなものが作れるようになり
銀をたっぷり使い,白蝶貝などもうんと大きな物を使って..
場合によっては,
華美すぎる(ごてごて趣味、と悪口を言われたりとか)ものもあります。
でもビクトリアンには,前の時代にはない魅力もあり、優れた物がたくさん作られました。
工芸品などは,技術と工具の進歩によって、一層使いやすくなっています。

あまり関係ありませんが,ルイ16世時代の女性の髪型。

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